tributary’s blog

本流を離れた支流(tributary)から見たブログです

ベネズエラ事変

 1月3日の夜、米軍が急襲してVenezuela(V)のMaduro(M)大統領とその妻を拘束・逮捕し米国に移送した(Operation Absolute Resolve)。連邦裁判所の場で米国検察はMを麻薬関連の罪状で起訴し、Mは無罪を主張している。V国ではRodríguez副大統領が暫定大統領となった。

 米国の言い分は、Mは組織的に麻薬を違法輸出し米国社会を破壊しているということだ。またVの石油開発は長く米企業が支援してきたが、チャペス大統領の時代にその施設を国有化し接収した(しかも石油は中共国に)。それを取り戻すという目的もある(これが真意か)。

 批判側は国際法違反(侵略行為、内政干渉)、不当な軍事力の行使(秩序の崩壊、覇権主義的行為)を唱える。日本のマスコミもこの論調だ。支持側の論拠は、法の支配(Mは麻薬組織と共謀する犯罪者)、民主主義の回復(2024年の大統領選は不正で、Mは非合法な独裁者)となろう。

 まず国際法「違反」に要注意だ。国際法と国内法とは異なる。国際社会には警察権や司法権はなく、国際法は単なる慣習だ。力を見せつければ何でもまかり通る(原爆や東京大空襲中共国の南シナ海領有など)。畢竟、国際法の辞書に違反はない。国連の無力が更に明白となった。

 Vの国民は歓迎だろう。頼みの石油の生産は近年激減し、GDPも10年で2割まで低下、数千~万%のインフレが続く。警察も買収され、犯罪率は法外で、国民の半数近くが海外に逃亡した。Vは麻薬組織に乗っ取られ国家の体を成さず、映画で見る反社集団が支配する街の有り様だ。

 こう見ると、これは国際法「違反」にもならない。Vは国家ではなくテロ組織で、国内は暴力が支配する無法地帯で、大統領に正統性はなく、生業は麻薬輸出で米国を脅かしている。そのボスがMなのだ。麻薬組織に対する米国の自衛行動、反米テロリストの拘束とも言える。

 何が教訓か。19世紀のアヘン戦争では、悪者ながら勝者の英国を誰も責めない。東京裁判で日本の指導層を戦犯としたのも勝者だ。北方領土拉致問題を戦争(威嚇を含む)以外で解決できるだろうか。国際社会を生き延びるのは現実を理解しそれに適応した者だ。理想を語る者ではない。